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麻布大学

平成18年度の卒業証書・学位記授与式を挙行するにあたり、学長として一言ご挨拶申し上げます。

本日ここにめでたく獣医学部・環境保健学部及び獣医学研究科・環境保健学研究科を卒業あるいは修了される皆様にとっては、 明日からは実社会での活躍が期待されているところでありますが、皆様の人生の次のステージである実社会の現状はと申しますと、 見る視点によって、さまざまな評価ができると思っております。
地球規模でみますと、やはり温暖化による地球環境の悪化というものは、人類にとって受け入れがたい事実として捉えることができます。 この地球の温暖化現象は、ある意味では科学の発達によりもたらされたとも言えるのではないでしょうか。
科学の発展は、究極的には人類の幸福を念頭において行われておりますが、我々人類が科学の力によって便利となった反面、 他の生物に対して、あるいは地球環境に対しては、いかがでしょうか。生態系をはじめとする地球環境に、 負荷をかけすぎているのではないかと思われる現象が、出現してきていることも、事実として認識する必要があります。

また、21世紀においてこのような問題を解決できるのも、やはり科学の力であることは言うまでもありませんが、 同時に私は人間の心ではないかと考えております。
2年前になりますが、「もったいない」という言葉が、アフリカから逆輸入されました。久しく日本人が忘れかけていた言葉で、 見方を変えれば物質優先の社会を批判する言葉とも捉えることができます。 何故かこの言葉に接したとき、清清しさを感じたことが思い出され、そして、かつての日本にはそういう時代もあったと、 過去形で言葉を認識した自分自身を省みたこともありますが、今になって思うに「もったいない」という言葉は、 心に余裕がないと出てこない言葉ではないかと思っております。 日本では忘れられかけた言葉というより、社会的に余裕がなくなり発せられなくなった言葉と、表現できるのではないかと考えたりもいたします。

話は少し変わりますが、今年の卒業生に贈る言葉として「考える力」を取り上げ、本日お手元に渡っている学園情報にも掲載いたしております。 この「考える力」はある本の序章に「人類がこの地上に生を授けられたとき、他に類をみない特権を与えられた。 それは"考える力"である。この力が文化を生み、文明を生んできた。 しかし、その一方で壮絶な戦いの歴史をも生んできた。考える力が"思索"へと昇華されても、戦いの歴史は途切れていない。 思索がさらに深まって"哲学"が生まれても、戦いの歴史にピリオドは打たれなかった。それどころか、巧妙な破壊の歴史まで加えてしまった。 私たちは、いまだ、迷宮のなかでさまよっているのだ。いでよ、迷宮から救い出してくれる哲学者!」このような文章が記載されております。 私は皆さん全員に哲学者になってもらいたくて、この文章を紹介するのではなく、人は考えることで成長するということを伝えたいからであります。 18年度の卒業生を送るにあたり、皆様には、自分は何ができるか、何をすべきかを常日頃より考え行動されることを切に望みます。 また、本日の式には本学を卒業されて50年になる先輩たちが、皆さんを祝すため特別に出席されております。皆様に代わり御礼申し上げ式辞といたします。

平成19年3月15日  本学百周年記念ホールにて

参考までに・・・
麻布大学HP


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